FXのスワップ金利で生活できる収入が得られるのか

投資

スワップポイントとは

スワップポイントは銀行預金でいうところの利息のようなものです。

FXの場合は金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を買うことで金利差をスワップポイントとして受け取ることが出来ます。

基本的な理屈としては南アフリカランド/円の取引で1ランド=8.4円、南アフリカの金利が7.0%、日本の金利が0.1%だった場合にランドを10万ランド買うと金利差は7.0%-0.1%=6.9%

1年で57,960円になるので、1日158円ほどの金利が受け取れます。

銀行預金に比べれば遥かに多くの金利が貰えますが、1日158円で生活するには全く足りません。

スワップで十分な収入を得るためには

スワップで十分な収入を得るためにいくつか考えないといけないことがあります。

  1. スワップが大きい通貨ペアを選ぶ
  2. レバレッジを利用する
  3. 為替差損を抑える

スワップが大きい通貨ペアを選ぶ

同じ金額をかけて1%の利益を得るのと5%の利益を得るのでは大きい方が有利ですよね。

現在スワップポイントが大きい通貨ペアは次のものが候補にあがります。

  • トルコリラ/円
  • 南アフリカランド/円
  • NZドル/円
  • 豪ドル/円

レバレッジを利用する

外貨預金では1ドル90円の豪ドルを1000通貨購入しようとすると9万円かかりますが、FXではレバレッジが利用できるので少ない金額で取引出来ます。

レバレッジは最大25倍までかけられるので3600円で購入することが可能です。しかしフルレバレッジで運用を行うと、すぐにロスカットしてしまう危険があるので証拠金を増やすことでレバレッジを調整することが出来ます。

スワップ目的での長期運用ではリーマンショックのような急な値動きに遭遇する危険もあるため、レバレッジを下げて運用する必要があります。

安全に運用するためには2~3倍での運用が適当かと思います。

1ドル90円の豪ドルを1万通貨購入するなら30万円用意します。(レバレッジ3倍)

為替差損を抑える

FXの損益は価格変動によるものが一番の要因となるので、為替差損がでるとスワップ程度の金額はすぐ吹っ飛んでしまいます。

そのため、いかに為替差損を抑えるかが課題となっており、以下のような方法が用いて対策される事が多いです。

  1. ドルコスト平均法
  2. 相関関係を利用
  3. 異業者取引

為替差損を抑える方法

ドルコスト平均法

ドルコスト平均法は投資における分散のひとつ、時間の分散を行うものです。例えば毎月、決められた一定金額を積み立てて購入していく形になります。

口数ではなく金額で購入するので、価格が高ければ少なく、価格が安ければ多く購入することができるので購入価格が平均化され価格変動による影響を抑えることが期待出来ます。

ドルコスト平均法のメリットとデメリット

例えば次のような値動きをする投資信託を毎月1万円ずつ定期購入した場合と10口ずつ定量購入した場合とを比較すると

ドルコスト平均法と毎月定量購入の比較

毎月1万口購入した場合は50,000円で50,000口購入出来たのに対して、毎月1万円で購入した場合は50,000円で52,178口購入出来ました。

以上からドルコスト平均法を使えば1口当たりの購入金額を安く出来てお得なことが分かります。(定量購入 : 1万口=1万円、定額購入 : 1万口=9,582円

この方法では購入日や購入金額などを決めて行うので、感情的なトレードをしてしまうという事もなくなります。

しかし、ドルコスト平均法にもデメリットがあります。

価格が下がり続けて戻らなければ含み損が拡大しますし、右肩上がりで価格が上がり続けるならば最初からまとめて買っておいた方がよっぽど利益を得られます。

こうしたメリット、デメリットをよく理解して運用しなければ機会損失など予想外の事態が発生してしまうので、よく検討することが大事になってきます。

通貨ペアの相関関係

通貨ペアの過去の値動きを見ると、似たような動きをするもの、逆の動きをするもの、全く関係のない動きをするものがあります。

これらの動きの関係性を表したのが相関係数です。同じ動きに一致するほど+1に近づき、逆の動きに一致するほど-1に近づきます。

それそれ同じ動きをする通貨ペア同士を組み合わせ、金利が高い方を買い、金利が低い方を売れば価格変動による影響を低減させることができます。

  • 買った通貨ペア → 上昇すると利益が、下降すると損失が出る
  • 売った通貨ペア → 上昇すると損失が、下降すると利益が出る

 

値動きが似ていれば似ているほど為替損益が小さくなります。

買いスワップと売りスワップの差にも注意してスワップがマイナスにならないようにします。

 

例1 : 豪ドル円を買い、ユーロ円を売った場合

  • 豪ドル円の買いスワップ → 37円
  • ユーロ円の売りスワップ → 8円
  • 合計45円

例2 : 豪ドル円を買い、カナダドル円を売った場合

  • 豪ドル円の買いスワップ → 37円
  • カナダドル円の売りスワップ → -12円
  • 合計25円

例3 : ユーロ円を買い、豪ドル円を売った場合

  • ユーロ円の買いスワップ → -12円
  • 豪ドル円の売りスワップ → -39円
  • 合計-51円

 

通貨ペア同士の相関とドルコスト平均法を組み合わせて利用すれば更なる変動抑制が期待できます。ドルコスト平均法の効果をより高めるためには購入数を細かく設定できる方が有利です。

FXには1万通貨から購入できる会社、1000通貨から購入できる会社などがありますが、1通貨から購入できる会社もあるので少額からの積み立ても可能です。

異業者間取引

相関を利用すれば価格変動による損益を低減することが期待できますが、それは過去の値動きによるものでこれから将来にわたって相関関係にあるとは限りません

さらに、リーマンショックのような事態が起きた場合に組み合わせによってはどちらもマイナス方向に動いてしまうこともあります。

そこで価格変動による損益を排除し、確実にスワップを得る方法を様々な人が考えました。

そうして使われるようになったのが異業者間取引(サヤ取りまたはアービトラージとも言う)です。

異業者間取引とは

同じ通貨ペアでも業者によってスワップポイントが異なります。

例えば「豪ドルの買いスワップが50円、売りスワップが-80円の業者A」と「買いスワップが24円、売りスワップが-29円の業者B」

これらで異業者間取引を行うとして、業者Aの豪ドルを買い、業者Bの豪ドルを売ると50-29=21円が1日あたりもらえます。

もちろん同じ通貨同士なので相関係数はほぼ1.0、価格変動による損益はほぼ0です。

異業者間取引の注意点

ロスカットに気をつける

別々の業者を使うので業者Aで利益が出ている時は業者Bでは損失が出ることとなり、さらにマイナススワップも積み重なって行きます。

そのまま放っておけばロスカットされてしまう危険もあるのでロスカットしない証拠金を維持するために、利益が出ている口座から損失が出ている口座に資金を移さなかればなりません。

毎日のレートチェック、証拠金維持率チェックは欠かせません。

スワップポイントの変更に気をつける

各業者は経済の動向に応じて逐次スワップポイントの改定を行います。

そのため、今まではスワップの差がプラスだったのに逆転し、マイナスになってしまうこともあります。

定期的にスワップポイントのチェックが必要です。

スプレッド分のマイナスを取り戻すのに時間を要する

価格による損益が常時0なので、購入時にかかったスプレッド分のマイナスは常時存在します。

そのため、スワップで得た分で回収するのでプラスに転じるまでに時間がかかります。

その間に業者のスワップがマイナスになってしまっては元も子もないので業者選びはしっかりしなければなりません。

よく使われている通貨は?

高金利通貨は不安定で下がり続けると言われることもあります。しかし異業者間取引では価格による損益は出ないのでロスカットにさえ気をつければ大丈夫です。

対して豪ドルなどはほとんどの業者でスワップが横並びになっているのであまり旨味がありません。

そのため、通常の取引では危険とされてきたトルコリラや南アフリカランドが積極的に取引されています。(ただしスワップポイントの変化で逆ザヤにならないよう確認)

各口座の管理を怠らなければ異業者間取引が最も安定して収入を得ることが出来る方法だと思います。

少しの手間だけで、銀行の定期預金に預けるより遥かに多くのお金が増えるわけですね。

取引の例

南アフリカランド/円で200万円を5年間運用を行う。レートは8.700円と仮定し、レバレッジは3倍。

  • 業者Aの買いスワップが10万通貨当たり180円、スプレッドが1.3銭
  • 業者Bの売りスワップが10万通貨当たり-130円、スプレッドが1.3銭

各業者に85万通貨使える計算になるので、スプレッドは22,100円となる。各年の収益を表すと

業者A 業者B スプレッド 合計 累計
1年目 550,800 -397,800 -22,100 130,900 130,900
2年目 550,800 -397,800 0 153,000 283,900
3年目 550,800 -397,800 0 153,000 436,900
4年目 550,800 -397,800 0 153,000 589,900
5年目 550,800 -397,800 0 153,000 742,900

5年で742,900円、年利にしておよそ3%です。銀行の定期預金に500万円預けた場合5年で2,500円にしかならないのでその差は歴然です。

スワップで生活するにはいくら必要?

しかしこれではまだ生活できる分には到底足りません。月20万円の利益を得るためにはいくら必要なのでしょうか?

年間240万円が得られれば月20万円分の収入となります。500万円の資金で年間15万円が得られるので、240÷15=16倍でおよそ8,000万円必要ということになります。

もしくはリスクを取ってレバレッジを上げることにより金銭的負担を減らすという選択をすることになります。

500万円の資金でレバレッジを5倍にすれば年間25万円、レバレッジ10倍なら年間51万円。

1,000万円の資金でレバレッジを5倍にすれば年間51万円、レバレッジ10倍なら年間102万円。

ただしレバレッジを挙げると当然マイナス側の口座でロスカットが発生する危険が上がるので定期的な管理と、急落時の応急処置としての準備資金が必要となるので自分の資金と相談の上、損をしにくい運用を目指すべきかと思います。

この方法で生活していくには厳しいものがありますが、長らく使わない資金に対する運用としてはなかなか美味しいのではないのでしょうか。

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