金融系資格を目指す第一歩として、まずはFP技能検定の攻略から始めていこうかと思います。
FP技能検定には投資や税金についての分野もあるので投資の知識を補完するにはもってこいの資格かと思われます。
FP技能検定の概要
FP技能検定は生活と密接に関係のある分野について広く知識が問われる国家資格です。
- ライフプランニングと資金計画
- リスク管理
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続・事業承継
これらはお金持ちにしか関係ないと思う人もいるかもしれませんが、FPの得るべき知識は金融に関するものだけではありません。その中には生活していくのに必要な知識があります。
自分の生活の中でも年金・保険・税金など様々な分野で非常に役立ちます。
日本は福祉が充実しており様々な保障制度がある国ですが、その多くが申請しないと適用されないものばかりです。制度を知らなければ受けられるはずの保証も受けられません。
FPは金持ちのためではなく、庶民にこそ必要な資格なのかもしれませんね。
ライフプランニングと資金計画
主に公的医療保険、雇用保険、介護保険と公的年金について出題されます。
健康保険や年金に関しては「ただ給料から引かれるもの」という認識しか持っていない人が多いようですが、実は非常に手厚い保障があります。
しかしその多くが申請により支給されるものなので、いくら手厚い保障があっても制度を知らなければ貰えるものも貰えません。
年金が払えなくなった!
例えば経済的な事情から国民年金の保険料が支払えない場合、何もしなければ滞納となりいずれ差し押さえとなってしまいます。これでどん底へ突き落とされた人も多いようですが、実は年金の納付を免除することができるのです。
免除額は状況に応じて変わりますが全額、3/4、半額、1/4のいずれかが免除されます。しかしこれは申請しないと適用されないので制度を知らなければ当然免除されません。
ケガや病気で働けなくなった!
ケガや病気により長期間仕事を休まなければならなくなった場合、給料が入って来ないという事もあります。その時に助けとなるのが傷病手当であり、申請すれば月給の2/3程度が支給されます。
働けなくなった場合に備えて保険に入る人も居るようですが、傷病手当を使えるサラリーマンなどは無理して契約する必要がないですね。(自営業等の場合は除く)
医療費がかかっても大丈夫!
入院や手術などで多額の医療費がかかってしまい家計を圧迫してしまった経験がある人も多いのではないでしょうか。
医療費には高額医療制度により所得に応じた限度額が定められており、それを超えてしまった分については申請によりお金が戻って来る場合などがあります。
例えば月給40万円のAさんが手術により医療費が100万円かかったので3割負担分の30万円を支払いました。
自己負担限度額の計算をすると報酬月額27万円以上~51万5千円未満なので80,100円+(100万円ー267,000円)×1%=87,430円となり、30万円ー87,430円=212,570円が申請により帰って来ることになります。
まさに自分のためになる分野そのものです。もし自分がそういった制度の対象になった場合、これらを知らなければ大きな損をしてしまいます。
つまりお金儲けのためだけではなく、生活の中で自分を守るためにFPの勉強が必要なのです。
リスク管理
主に生命保険、損害保険、第三分野保険について出題されます。保険の種類による保険料の比較や、適正な保険商品の選択をするための基礎知識が学べるほか、保険料の控除や税金についても学習します。
年末調整や確定申告において生命保険料控除の申請を行えば、支払った保険料を所得金額から控除することが出来ます。
金融資産運用
金融政策や経済指標などの経済市場についての基礎知識から、預金・債券投資・株式投資・投資信託・外貨デリバティブ商品などの幅広い金融商品についての知識が得られます。
また、ポートフォリオ理論や金融商品の税金など、金融商品の選定をする上で必要になる知識を学べます。
例えば元本保証で最低金利が0.05%という「個人向け国債10年変動型」であれば銀行の定期預金より利率がよく、より安全に預けておくことができます。
個人向け国債10年変動型なら1000万円以上の資産もペイオフの心配しなくていいね!
タックスプランニング
主に所得金額の計算、所得控除および確定申告を中心に学びます。
所得税の仕組みと分類、損益通算、繰越控除、所得控除や税額控除で節税に関する基礎知識が得られます。余分な税金を収めなくて済むようになるといった点では学んでおくべき項目ですね。
普通のサラリーマンでも条件を満たせば確定申告を行う事で医療費控除や住宅ローン控除を受ける事が可能となります。
確定申告で税金が安くなる場合があるよ!
不動産
1つめは不動産の登記や価格に関する知識から、借地借家法、宅地建物取引業法や建築基準法などの法律について学びます。
2つめは不動産の取得や譲渡にかかる税金やその控除に関する知識、土地の活用方式について学びます。不動産投資を始めたい人の勉強になります。
相続・事業承継
贈与および相続について、これらが行われた時にかかる税金について学びます。
遺産相続については血縁関係にあっても遺恨の要因になり得るので、予めトラブルを回避するための知識も必要となるため有効な学習です。
FP技能検定の試験について
FP技能検定は出題範囲と難易度によって3級、2級、1級に分かれています。2級以上は受験資格があるため、初学者は3級から始めてステップアップしていくことになります。
実務経験によっては3級を飛ばして2級を受ける事も可能なので、自分の仕事内容と受験条件の確認を行いましょう。
試験の概要
3級~2級の試験は年に3回(1月、5月、9月)行われており、学科・実技は同日に行われます。
3級は誰でも受験可能で、合格すると2級の受験資格が得られるので2級までチャレンジする方が多いです。
いずれも学科試験・実技試験から構成されており、どちらも6割以上の得点をクリアすることで合格となります。
いずれかのみ合格の場合は、「一部合格」として一定期間該当試験が免除されます。(例:学科に不合格、実技合格の場合は一定期間実技試験が免除され、学科に合格できれば資格が取得できます)
また、試験機関は「日本FP協会」と「金融財政事情研究会(きんざい)」の2つが存在し、どちらかを選んで受験することになります。
FP協会ときんざいのどちらで受験するか
まず、FP協会で合格しても、きんざいで合格しても資格の価値に違いはありません。試験日も同じで、学科試験の問題も共通ですが、実技試験の出題範囲が異なります。
3級実技
FP協会が行う「資産設計提案業務」は6分野全てについて出題され、合格率は76.8%(16年9月試験)です。
きんざいが行う「個人資産相談業務」はリスク管理以外の5分野について出題され、合格率は83.2%(16年9月試験)です。
きんざいが行う「保険顧客資産相談業務」は金融資産運用・不動産以外の4分野について出題され、合格率は67.0%(16年9月試験)です。主に保険関係の仕事をしている人が多いように見受けられます。
受験者が最も多いのはきんざいの個人資産相談業務です。比較的協会の実技の方が内容は易しいように感じます。
また、きんざいの方が受験地が多いので自宅から近くの会場になる可能性が協会よりも高いです。
2級合格後にチャレンジする資格
FPで学んだ各分野の知識を活かして新たな資格にチャレンジされる方が多くいます。
- 年金 → 社労士
- 保険 → 保険募集人
- 金融資産運用 → 外務員、証券アナリスト
- 税金 → 税理士
- 不動産 → 宅建士、不動産鑑定士、司法書士
- 相続 → 司法書士
また、AFPやCFPの認定試験や、実務経験を持っている人は1級に挑戦し、更なる知識を得る事もできます。
FP技能検定が役立つ仕事は?
2級合格後に進める道はファイナンシャルプランナーになるだけではありません。
受験者の多くが金融(銀行、証券)関係、保険関係の仕事に就いているようで、会社から資格取得を指示されて受験する方が多いです。
金融・保険関係の会社への就職・転職活動において一定の評価を得られるでしょう。
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