実務経験がなければAFP認定講習から
FP2級に合格したら次は1級…と行きたいところですが、2級に合格しただけでは受験資格を得られません。
FP技能検定の1級には受験資格があり、その条件をクリアしていないと受験することができません。
- 2級合格者で、1年以上の実務経験を有する者
- 5年以上の実務経験を有する者
- 金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験を有する者
上記以外がFP1級を受験するためには所定の手順を踏まなければばりません。
実務経験がある人は1級学科からチャレンジでき、合格すれば1級実技を受験できます。
実務経験がない人は上記の手順を経てCFP資格審査試験に合格すると1級学科が免除されるので1級実技を受験できます。
FP1級の概要
FP1級の出題分野
出題分野はライフプランニング・リスク管理・金融資産運用・タックスプランニング・不動産・相続の6分野から出題されますが、より深く掘り下げた問題が出題されます。
学科は6割の正解で合格ですが、2級までとは次元が違います。非常に難しくなっているので相当な勉強が必要になります。
FP1級の出題形式
FP1級は試験日が学科と実技で別れており、学科に合格しないと実技を受験できません。(CFP資格審査試験合格者は別)
1級の学科は「きんざい」だけで行われており、実技は「きんざい」と「FP協会」で試験が異なります。
学科
1級の学科は「きんざい」だけで行われております。
受験料は8,900円(学科)
【基礎編】 回答は全てマークシートで、四答択一式 50問出題
【応用編】 回答は全て記述式で、5題出題
200点満点中120点以上(6割以上)で合格となります。
記述式は以下のような方式の問題が出題される。
- 空欄に入る語句や数値を答える問題
- 金額などを計算過程まで示して答る問題
- 文章から不適切な部分を選び、その内容を説明する問題
2級までの実技のような出題形式がイメージに近いかもしれませんね。
読むべき文章が多いので手早く解いていく必要があります。そのために繰り返し学習が必要になってきます。
例:居住者に係る所得税の不動産所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか
- 事業所得を生ずべき事業を営む個人事業主が、その事業に従事する従業員に寄宿舎を利用させることにより受け取る使用料は、受け取った年分における不動産所得の総収入金額に算入する。
- 個人事業主がテナントビルの賃貸時に保証金を受け取り、その20%相当額は条件を問わず返還しない旨の賃貸契約を貸借人と締結した場合、返還しない部分の金額については、当該賃貸が開始した年分における不動産所得の総収入額に算入する。
- 個人が自らの土地に他人の建物を建設させるために借地権を設定し、その対価として当該土地の時価の2分の1を超える権利金を受け取ったことによる収入は。当該契約をした年分における不動産所得の総収入金額に算入する。
- 不動産所得を有する青色申告者が、生計を一にする配偶者に対し、納税地の所轄税務署長に届け出た金額の範囲内で給与の支払いをした場合、当該不動産の貸付規模にかかわらず、支払った給与のうち適正な金額について、支払った年分における不動産所得の必要経費に算入することができる。
正解 → 2
実技
実技は以下の2種類の中から選択し、申込時にいずれかを選択する事になります。
実技試験 |
試験機関 |
実施月 |
受験料 |
---|---|---|---|
資産設計提案業務 | 日本FP協会 |
9月中旬 |
20,000円 |
資産相談業務 | 金融財政事情研究会(きんざい) |
6月中旬、2月中旬 |
25,000円 |
開催時期が異なるため注意が必要です。
資産設計提案業務
全20問、与えられた資料の条件をもとに答えを解答用紙に記入します。
問題には以下のようなものがあります。
- 回答を選択肢から選ぶもの
- 文章の空欄に当てはまる語句や数字を語群から選ぶもの
- 金額等の計算を行い、その数字を記入するもの
- 文章の正否を○×で記入するもの
- ある事柄についての説明を300字程度で述べるもの
出題は全6分野全てが出題されます。
今までとは違い、説明を求める問題が出題されるので内容をよく理解するように勉強しなければなりません。
例:FPが業務を行うに当たって、十分理解しておくべきことの一つに金融商品取引法における「投資助言・代理業」との境界の問題がある。金融商品取引法における「投資助言・代理業」の定義を説明するとともに、ファイナンシャル・プランニングのうち金融資産の運用設計を行うに当たって、金融商品取引業者としての登録を受けていないFPはどのような点に留意すべきか、300字程度で述べなさい。
回答例:金融商品取引法は、有価証券の価値等または金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に関し、口頭、文書その他の方法により助言を行うことを約し、相手方がそれに対し報酬を支払うことを約する契約を「投資顧問契約」とし、この契約に基づいて助言を業として行う者および投資顧問契約または投資一任契約の締結の代理・媒介を業として行う者については「投資助言・代理業」として、金融商品取引業者の登録を義務付けている。従って、登録を受けていないFPは、顧客から助言の要請がある場合でも、経済情勢・景気動向や企業業績など投資判断の前提となる一般的な情報を知らせたり、現在や過去における有価証券の価格等を紹介することにとどめておく必要がある。(306字)
資産相談業務
試験方法は口頭試問方式、つまり面接です。
試験地は東京、大阪、名古屋、福岡、岡山で行われるため、北海道などの人は大変ですがその点に注意しましょう。
ちなみに服装自由とされていますが、基本的にはスーツで行ったほうが良いでしょう。(状況を考えたら当然ですね)
<面接前>
面接は2回に分けて行われます。
まず受験要領を説明された後待機室に入ります。そこで設問が渡されるので15分間よく読んで頭に入れておきましょう。
<面接開始>
設問について、実際の相談のような状況で面接が行われます。
以下の項目について重点的に審査されます。
- FPの業務を倫理を踏まえた上で正しく理解しているか
- 顧客のニーズ、問題点を把握しているか
- 問題解決にあたって、知識を活かし解決策の検討が行えるか
- 顧客の立場に立ってわかりやすく説明が行えるか
難しそうですが、事前にしっかり対策していれば慌てる必要はありません。面接官も話の中でヒントをくれたりと助け舟を出してくれます。
FP1級の難易度
1級学科はこれまでの試験とは遥かにレベルが異なります。充分な対策が必要となるので覚悟が必要です。
なお実技は合格率80~90程度と高く、しっかり対策していれば恐れる必要はありません。(簡単という意味ではない)
過去の合格率は学科で1割前後、協会の実技で9割前後、きんざいの実技で8割前後となっています。
FP1級の勉強方法
独学か、スクールなどの講座か
FP1級は独学でも合格可能ですが、このレベルになってくると講座の受講も視野に入ってきます。
独学では基本的な勉強方法は今までと同様です。
- テキストを熟読する
- 問題集を解く
- 間違えた問題を解説・テキストなどでチェックする
- もう一度問題を解く
- 3、4の繰り返し
- 過去問を出来る限り解く
しかしこれだけでは分からない事も出てくるでしょう。それを補う目的での講座の受講はオススメできます。
決して講座を受けていれば合格できるというわけではありません。メインは独学です。
おすすめのテキスト・問題集は
独学で完璧に仕上げたい場合
学科試験はきんざいが主催している試験ですので、きんざいのテキストは有効だとおもいます。
ただし、きんざいのテキストや問題集からそのまま出題されるなんて甘いことはありません。
「FP技能検定教本1級 1~6」
分野ごとに分けられているので全部で6冊、4,320円×6冊=25,920円
問題集は「1級FP技能士(学科)精選問題解説集」
手頃な値段で人気もあるテキストを使いたい場合
「みんなが欲しかった!FPの教科書 1級」
3級から通して一番人気があるテキストがこちら。イラストや図などシンプルな構成で分かりやすい。
分野ごとに切り離して別々の冊子として使うことが出来るので、必要な分野だけ持っていけば重くなる心配もなく持ち運びが便利です!
1級はvol.1とvol.2に分かれているので2冊購入する必要があります。
「みんなが欲しかった!FPの問題集 1級」
学科免除で実技のテキストだけ欲しい場合
きんざい「FP技能検定1級実技(資産相談業務)対策問題集」
きんざいの実技試験(面接)に対応した問題集です。
FP1級の勉強時間
平均的には300時間ほどと言われているようですが、2級まででどれだけ勉強してきたかによって変わります。
おそらく300時間真面目にやれれば普通に合格は出来るかと思われます。
要領の良い人は100~150時間で合格できたと言う話も聞きますが、合格することが目的なのか、しっかりと知識を付けることが目的なのか、そのひとの考えによって必要な時間も変わって来るでしょう。
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